
キウイフルーツに近縁で、国内にも自生するサルナシ。
子供の頃ラーメン屋で読んだ伝説の釣り漫画“釣りキチ三平”で木のうろかなんかにサルが果実を集め、そのまま酒になったものを猿酒と呼び飲んでいたが
サルナシも放置すると発酵しやすく、猿酒の原料も同じサルの名前がつくサルナシだったのではないかと昔から思っている。

断面も種子のサイズもキウイフルーツに近く、すでにリナロールや酪酸エチルの甘い香りが漂っている。

稀に海外産がベビーキウイの名前で販売されているが、あれもサルナシActinidia argutaだ。
しかしキウイになったのは長江流域のオニマタタビ(シナサルナシ)Actinidia chinensisなので同属の別種。
ただActinidia chinensisの中にもいくつか変種があり、グリーンキウイは果皮の毛が粗いActinidia chinensis var . deliciosa、ゴールドキウイは果肉が黄色く毛が少ないActinidia chinensis var. chinensis、他に葉が薄く丸い実をつける台湾のActinidia chinensis var . setosaがある。
赤い花に白い毛皮の果皮、果肉は緑の実をつけるミス孫雪(スンシェ)と呼ばれる面白い品種もあるが、これはActinidia eriantaというこれまた別種。Actinidia chinensis 系より開花が半月ほど遅いので冷凍花粉などがないと受粉ができない。マツアやトムリより遅咲きのオス木を開発するか、同種のオスを輸入しなければ商業発展は難しい。

今回のサルナシは糖度13前後、酸味次第で十分甘さは期待出来る糖度だ。
もっとも日本中に自生する種なので探せば様々な系統が手に入るだろう
美味しいサルナシ見つけたら枝ごと送ってくれ。
果実はデータをとり、枝は挿し木する。

さぁ、味見してみようか
食感は繊維質だが非常に柔らかく、ペクチンのトロみが強い。ホロホロとした果肉の食感もあり芯の部分は滑らか、酪酸エチルの完熟パインの風味にリナロールの甘い香り、γデカラクトンの桃の後味の風味もあるが、ほのかに感じるガルバノレンの未熟パインのような酸味を感じさせる香りがキウイフルーツのような香りにまとめている。
酸味はほとんどなく、甘い。
果肉はグリーンだが味や香りのバランスはゴールドキウイに近い、ペクチンのトロみが強いのでとろけるゴールドキウイをイメージすれば間違いない。
ただリナロールのマスカットにあるような甘い香りはゴールドキウイよりやや穏やか。


サルナシは日本では伝統的に花柱痕の部分をもぎり、そこにできた穴からチュウチュウ吸って食べる。登山者限定ジュースのようなもの。

沖縄でパッションフルーツの1種であるミズレモンが果梗から穴をあけて吸って食べられるためチュウチュウという商品名で人気が出たように、チュウチュウ吸えるサルナシも果皮を剥くのが面倒な現代っ子たちに人気が出そうな果物ではないだろうか?

糖度がやや高めの個体がいたので種子をとっておいた。
キウイと交雑できれば面白いよな。

そしてこちら
なんと完全にベビーなキウイにしか見えないもう一つの国産サルナシ
その名もシマサルナシだ。
Actinidia rufaという種でキウイフルーツの原種のオニマタタビActinidia chinensis に近縁。
シマサルナシは根が高温、乾燥や病害に強いためじつはキウイフルーツの台木としてよく使われている。

サルナシよりさらにキウイに近い。台木としてだけではなくキウイフルーツかいよう病やキウイフルーツ根腐れ病、花腐細菌病などに強いため、キウイフルーツと交雑させる研究がされているという。

糖度は高い、中々のものだ。マスクメロンくらいの甘さが期待できる。

さぁ、味見してみようか
ヘキサノールのリンゴの風味にほのかに酪酸エチルの甘いパインの風味が乗り、柔らかいが繊維質な肉質に程よい甘さとヘキサン酸メチルのみずみずしい青い香りを感じる。
強い酸味と共にガルバノレンの酸味を感じさせる風味が現れ、いわゆるヘイワード種のキウイフルーツに近い風味にまとまる。
1000gくらい食べたけど糖度は高いのに酸味がなかなか強い果実が多い野生の味。
昔のグリーンキウイって感じ。


キウイフルーツと同じ強度の果皮をもぎるのは中々難しいが、熟度やサイズによってはシマサルナシも吸える。
ぶよぶよになった果実は酒になっているが、ヘキサン酸メチルのヘキサン酸が分離されたのか、やや獣臭のようなスモーキーな雑味を感じる。
酒にするならシマサルナシよりサルナシのほうがよさそうだ。

なんとシマサルナシに三粒だけ全く酸味を感じさせない甘いキウイフルーツの味がする粒があったので、
種子をまいてみようかと思う。
育ったらいつかキウイフルーツと交配したい。

お前もチュウチュウしてみないか?
ではまた。



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